七尾線と関西本線
高校2年の夏、友人たちと能登旅行を計画しました。上野から夜行急行「北陸」に乗車し、翌日、津幡で乗り換えて七尾線に入りました。仲間たちは、寺社仏閣、風光明媚の地を訪ねていましたが、私は、当初の予定通り汽車ダイヤに合わせた行動でした。1日目の夜は、みんなと輪島の民宿に泊まり、翌朝、ひとりで宿を出る時に、たまたま玄関で会った後輩の女子に「朝市いっしょに行きませんか?」と言われたことが記憶に残っています。私なりに思春期をむかえていたのだと思います。
結局、この日もひとりで夏雲の下、能登中島、穴水、羽咋(はくい)で汽車を追いかけました。カメラを抱えて歩き廻って、途中、駅前の雑貨屋で飲んだガラス瓶のサイダーの美味だったこと、今でも時々、瓶入りのサイダーが飲みたくなります。
夜は金沢駅に向かいました。夕食に日本食堂でカレーライスを食べた後、テーブルに置かれたピッチャーの水を水筒につめていいか、ウェイトレスのお姉さんに訊ねると、「ちょっと待っていて」と私の水筒をもって厨房に入り、しばらくすると氷をいっぱい詰めて、黙って渡してくれました。感激でした。この夜は、金沢駅から夜行急行「のりくら」で名古屋に向かいました。今度は、隣席のおばあさんにゆで卵と冷凍ミカンをいただき、しあわせな気持ちで眠りにつきました。旅先で受けた親切は、この齢になっても忘れられないものです。
冷房の無いディーゼルカーでしたので、窓を開けていましたが、深夜、高山本線のトンネルの中で冷気が顔に当たり、目を覚ましたことを思い出します。
早朝の名古屋駅で関西本線に乗り換え、亀山から目的の加太越えに向かいました。山中で、まむしに出会ったり、SL牽引のはずが一部、ディーゼル機関車に置き換えられていたりと残念なこともありましたが、心に残る夏の旅になりました。
①七尾線(西岸-能登中島・1973)
②七尾線(西岸-能登中島・1973)
③七尾線(西岸-能登中島・1973)
④七尾線(西岸-能登中島・1973)
⑤七尾線(穴水駅・1973)
⑥七尾線(穴水駅・1973)
⑦七尾線(能登中島・1973)
⑧七尾線(穴水付近・1973)
⑨七尾線(羽咋・1973)
⑩北陸本線(金沢駅・1973)
⑪関西本線(加太-中在家・1973)
⑫関西本線(加太-中在家・1973)
⑬関西本線(加太-中在家・1973)
⑭関西本線(加太-中在家・1973)
⑮関西本線(加太-中在家・1973)